HbA1cは正常なのに重度の糖尿病性腎症を起こしているケースもある
糖尿病を判断する検査と言えば血糖値やHbA1cを見る血液検査とブドウ糖負荷試験ですが、たとえこの検査での数値が正常でも安心できない場合があります。
私が知っているある事例ではHbA1cは6.2くらいで良好といっても差し支えない数値であったのに、実は合併症の糖尿病性腎症を起こしていたというケースがありました。
尿アルブミンは18mg/gCr以下が正常値ですが、このケースの場合は540mg/gCrを超えていました。
540mg/gCr以上というと腎症のステージは第3期に該当し、顕性腎症となります。
このまま放置すれば腎不全に移行するのも時間の問題です。
しかし、顕性腎症の段階でも人によっては殆ど自覚症状を感じないことも多く徐々に足や全身のむくみが出て異変に気付くくらいなので、病院で検査を実施されない限り放置してしまうと思います。
ですので糖尿病の疑いがある場合は血糖値の検査だけではなく、尿アルブミン検査も毎回受けておくべきなのです。
医師の中には尿アルブミン検査をあまり実施しない方もいますので、糖尿病が気になる場合は自分で提案してでも尿検査も必ず実施してもらうほうが良いです。
中にはお説教してきたり頑なに検査をしない医師もいるかもしれませんが、その場合は思い切って病院を変えてみるのもアリです。
腎症はかなり病状が進行しないと分かりません。
人工透析にでもなればご自身も、将来介護を受けることになった時には家族も大変になります。
ちなみに人工透析に移行する病気の第一位は糖尿性腎症です。
全体の43.8%とほぼ半数です。
糖尿病性腎症が人工透析に移行する確率は決して低くないということがお分かりになると思います。
糖尿病性腎症の5年生存率は低い、まさに命に関わる合併症です
糖尿病性腎症が原因で透析になると他の病気で透析になった人よりも予後が非常に悪いのが特徴です。
5年生存率は50%程度なので約半数が5年もたず死亡してしまいます。。
他の病気が原因で透析になった場合は20年以上元気な方もたくさんいますので、それだけに糖尿病性腎症は命に関わる深刻な病気と言えます。
さて、ここからは上の記事で尿アルブミン検査について触れましたが、一体どれくらいの数値であれば回復が可能jなのか、そして腎症は糖尿病を発症してどのくらいで発症してしまうのかを書いていこうと思います。
まず糖尿病性腎症はだいたい糖尿病を発症してから10年以内には発症すると言われています。
この10年というのは医者から「あなたは糖尿病です」と確定診断を受けた日が基準となるわけではありません。
確定診断を受けた時点で発症から5年やそれ以上経過している人も存在するわけです。
糖尿病は隠れ糖尿病や糖尿病予備軍の方もたくさんいますからね。
上の記事でも書きましたが血液検査の数値はまったく悪くないのに、腎不全手前の腎症を発症していたというケースも存在しています。
ですので例えば、最近疲れやすくて寝ても疲れが取れないとか、体がむくんできたとか、食後に眠くなるとか、何か糖尿病の疑いのある症状がある場合は血液検査だけの数値で安心するのではなく、尿アルブミン検査もセットで受けましょう。
次に尿アルブミン検査の数値についてですが、尿アルブミンが301以上あるようであれば腎不全一歩手前だと思ってください。
この尿アルブミン301という数値は顕性腎症と言われ、腎症のステージの1期〜5期ある中の3期に該当します。
3期まできてやっと、体のむくみや高血圧などの症状が表れてきます。
2期以前ですと、定期的に尿検査を受けていない方の場合は殆ど自発的に気付くことはないでしょう。
そして一度、3期まで移行してしまうと約50%の方が2期まで回復することはありません。
まさに3期が生死を分けるデッドラインと言っても過言でないということです。
糖尿病性腎症は自己責任論の標的になりやすい、同情されない
糖尿病性腎症は自己責任論の標的になりやすい障害です。
最近、長谷川豊さんが人工透析患者は自己責任という内容の記事をブログで書かれていて肯定派、否定派で話題になったりしました。
それというのも世間の人が考える一般的な糖尿病イメージは生活習慣病と言われている通り、自らが不摂生をして我がままに生きてきたからであるというイメージがあるからです。
しかし糖尿病にも1型糖尿病と2型糖尿病が存在し世間の人がイメージしている不摂生が原因での糖尿病は2型のことです。
1型糖尿病は生活習慣などは関係なく、人の免疫機能が膵臓のインスリンを分泌する細胞を破壊してしまうことが原因です。
また、2型糖尿病でも遺伝要素が高い体質的なことが原因である場合、際立った生活の乱れがなくても発症してしまうこともあります。
腎症も癌などの他の病気で膵臓が機能不全を起こすことで起こすこともあります。
ですので糖尿病(糖尿病性腎症)=自己責任というのは完全には肯定できないのです。
ただ、腎症の原因の第1位が糖尿病性腎症であることは紛れもない事実で、2型糖尿病のほうが認知が高いことから生活にだらしない人間がかかる病気として非難されることもあるのです。
腎症になると患者一人あたり年間500万円の医療費がかかると言われています。
さらに障害年金や生活保護、医療費の公的扶助制度を受けられていればもっとたくさんのお金が使われています。
このことから一部の方々の中で自己責任なのに税金を無駄にしていて図々しいなどのバッシングが起こっていて、インターネットなどで広くその認識が拡散されている状況です。
悲しいことに医者の中にも自己責任論肯定派が存在しています。
まあ、まったく関わりのない第3者に言われるだけなら気にしなければいいやと割り切れる部分もあるのですが家族や親せき、友人からも「自己責任だよね?」と言われ冷たい対応をされれば肩身の狭い思いをしてしまいます。
自分で病院に行ったり管理出来る間はまだいい、しかし問題なのは自己管理ができなくなった時です。
特に人工透析にまで病状が悪化すると死ぬまでに高確率で介護が必要になりますし、介護をしくれる家族に枕元で自己責任を説かれ責められると、ただでさえ精神も肉体も弱っているのにかなり辛いものがあります。
上の記事でも書きましたが腎症を起こした患者さんが人工透析に移行する確率は43.8%と約半数に上ります。
しかも糖尿病性腎症の透析患者の5年生存率は50%くらいです。
同じ腎症でも糖尿病腎症はとても予後が悪いのです。
そうなる前に予防に努めたいものです。
といのも今も着々と進んでいますが、将来的には医療費の自己負担額や医療保険制度などを含めた社会保障制度が改悪されている可能性が否定できません。
糖尿病もその合併症も数年から10年くらい潜伏期間がありますので今は大丈夫でも10年後、20年後は最悪の病状になっていることもあり、もろもろの保障制度を利用しなければ生きられない立場になっていることもあり得ます。
今、糖尿病予備軍(境界性糖尿病)の方で特に予防活動をされていない場合は、精神的な苦痛のほかに経済的な苦痛も味わう可能性があることも視野にいれて今後の身の振り方を考えておかなかればなりませんね。
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